低賃金雇用のリスク

労働者にとってのリスク、じゃないよ。経営にとってね。

前に書いた アルバイトの彼は、結局まだ居る。少なくともいきなり辞めるっていう線はないみたいね。なんか「それも申し訳ない」とか言ってるし。アルバイトで、そのお給料でそこまで義理を感じる必要ないと思うけどね。そりゃ、学生のアルバイトとしては高いかもしれないけど君の技量からしたらそう高いわけでもないよ。ま、会社としてはありがたい話だ。

そうして考えるとお給料の額を決めるっていうのは恐ろしい話だよなー。日本の労働法制じゃ正社員は「要らなくなったから」って簡単には切れない訳で、だから一度採ってしまったらその給与はとにかく毎月出て行く訳だ。これは今更言うまでもない話。

で、一方できるだけ低くすれば良いってもんでもない。私だって、給与の高低だけで会社を選んだりしないというか、それはかなり優先度の低い検討項目なわけだけど、検討項目ではある訳だ。他の項目が似たり寄ったりなら高いほうを選ぶし、高く評価してくれればそこに「誠意」を感じる。

してみると、忠誠なんてものはそうそうお金で買えるものではないけれども、給与を決定する場面というのは数少ないその機会。忠誠あるいはそれに類するものをお金で買う千載一遇のチャンスなわけだ。給与額面だけじゃなくて福利厚生も含めてだけどね。給与はそれだけでは労働力との等価交換に過ぎない訳だけど、そこにほんのちょっとの上乗せをすれば忠誠を買える。上乗せをケチれば相応の忠誠しか買えない。Google式囲い込みや終身雇用制度はそう作用するわけだね。

とまぁ、まとめてみるとこれも結局今更言うまでもない話か。最近のGoogle論や「若者が3年で辞める」論の中で言い尽くされて。

だからこれは、私が今日ようやくそれを実感しました、というだけのこと。経営的観点から、人件費の圧縮は大きなリスクになるということ。心しよう。