円滑な対話の為の心掛け

意見を異にする人と円滑に対話し、自他の考えを深め洗練させ、昇華させるための心掛け。あるいは、フレームの中から有益なものを汲み出すための心掛け。

いくつかのフレームを横目で眺めて思ったこと。できるだけこうしたいと思っていること。

推定善意

相手が悪意であると考える客観的かつ合理的な根拠がないかぎり、相手は善意に基づいて行動していると仮定する。

  • 相手の悪意を疑ってしまう気持ちがあったとしても、それを表面に出さない。

  • 外れていた場合は失礼になる。

  • 当たっている場合も、客観的根拠なしに悪意を指摘したところで議論を有利には運べない。

  • くれぐれも、相手が権力者の陰謀によって言論統制を試みる全体主義者であるなどとは仮定しない

  • くれぐれも、相手を社会秩序の解体を試みるテロリストであるなどとは仮定しない
  • 相手が悪意であると考える客観的かつ合理的根拠があるならば、それ以上対話する価値は無い。

  • ネット上の議論程度なら、無視すれば事足りる。

  • 実害があるならば法に守ってもらう。
  • 法が守ってくれないなら自己防衛あるのみ。

推定合理性

相手が明らかに感情的発言のみを繰り返している場合をのぞき、相手は理性的に判断してその意見に到達したと仮定する。

  • 罵倒語や差別語は、信念を持って異なるニュアンスで使う場合を除いて感情的発言の一種である。

  • 一般的でないニュアンスで使うならその説明責任は発言者にある。

  • 感情的な発言が「混じっている」程度は誰にでも良くあることだ。それは思いやりとしてスルーする。それができないなら感情的になっているのはこっちだ。

  • くれぐれも、相手が悪質な似非宗教家に騙されている狂信者であるなどとは仮定しない
  • 相手が非理性的であると考える客観的かつ合理的な根拠があるならば、それ以上対話する価値は無い。

  • ネット上の議論程度なら、無視すれば事足りる。

  • 実害があるならば法に守ってもらう。
  • 法が守ってくれないなら自己防衛あるのみ。

理解

相手の意見がどのようなところから合理的に導き出されてきたのかを理解する

  • 相手は「推定善意」であり「推定合理的」なので、相手の意見には背景に何かの仮定があって合理的に導き出されているはずだ。
  • 多くの場合、背景の仮定を異にしていることが意見の相違の根源である。

  • 相手の仮定が事実に反するなら単にその事実を提示すれば議論は終わりだ。

  • 相手の仮定を否定できるだけの根拠を持たないならば、互いの論理展開を明らかにした上で互いの根源的仮定に遡って議論するのが解決の早道である。

  • 善意で合理的な相手の主張を聞いてどうしてもその根拠を理解できないなら、おそらく自分の知識や理解力が足りないせいだ。たぶんこちらが間違っている。

説得

自分の意見が正しいと思うなら、相手に自分の意見を理解してもらえるように説得を試みる。

  • 意見の異なる他者を異なるが故に非難するのは何の益にもならない。相手の態度をかたくなにするだけだ。
  • 自分の意見が正しいと思っているなら、相手を攻撃しなくてもその正しさを理解してもらえると自信を持てるはずだ。
  • 自分の意見について、「理解してもらえることへの確信」を得られない程度にしか正しいと思っていないなら、今こそ相手の主張を良く理解するチャンスだ。
  • 自分の意見が正しいと全く思えないなら、そんな意見を主張するのはやめよう。

「理解」は「説得」の説得力を強め、「説得」は相手の側の「理解」を助ける。

誠実

相手にとって大切な話題を軽く扱うことはしない。それは相手の人格を軽んじることである。

  • 本気でその話題をどうでも良いと思っているなら、そもそも口をはさまない。
  • 口をはさみたいなら、その問題に真剣に取り組んでいる人がいるという事実をよく考える。
  • 相手は「推定善意」であり「推定合理的」なので、そこまで真剣に問題に取り組むからには相応の事情・体験・事実があると考えられる。それを無視して相手の意見を否定すると気持ちを大きく傷つけるかもしれない。軽い気持ちで——ひいては浅い考えで——否定してはならない。自分なりに情報収集し、真剣に深く考えてから発言する。

  • これを面倒と思うなら、その話題は自分にとってその程度のものなのだ。面倒ごとには係わらない。

  • 人を傷つけるかもしれない領域には、覚悟なしには手を出さない。

  • 議論における「勝利宣言」の類はこの上なく不誠実な態度だ。