職場環境

何にせよ、職場には恵まれたと思う。

前の職場も恵まれていた。GIDっていう状況で社会適応していく試行錯誤の過程にはうってつけだった。接するのは変わり者の研究者ばかりで私はあまり目立たなかったし、自宅で仕事さえすれば文句は来なかったので、試行錯誤する時間的精神的余裕があった。そして、金銭的にも。某巨大グループの末端、アルバイト給与も予算消化せねばならないと言うお役所体質が、私を金銭的に保護してくれた。派遣という形で会社とは適度に離れていたので、そのお役所体質が私に害をなすこともなかったし。

今の職場もまた、最高だと思っている。若い会社だから独特の活気がある。でも、無意味な空騒ぎというのはなくて(何しろ、飲み会すら全然無い。呑めない人が多いって言うのもあるんだろうけど)、しっとりと落ち着いている。GIDについても理解を得られていると思う。

上司がまた、最高のリーダーなのだ。小さい会社だから、一人で「人事兼企画兼PL」という感じだけど、技術系出身だから技術面で一定の知識は備えている。最近の技術動向についてもポイントをまとめて説明すれば通じるし、話が通じるのみならずそれを元にして迅速に戦略的判断を下す。私が振った技術ネタを元に新しい企画をまとめたりもする。顧客や経営からのプレッシャーを過剰に現場に伝えず、いわゆる「防波堤」型管理職の能力もある。企画、プレゼンテーション、チーム管理については言うまでもない。

よくは知らないけど、会長、社長も他に幾つも会社を持っていて経営能力は信頼きる感じだし。まだ直接話したことは殆ど無いけれど、現場を(というよりもその上司を)信頼していて、経営としての必要な指示、あるいは若い人へのアドバイスというものは与えるけれども、過剰に現場に干渉する感じではない。技術には詳しくない人だから、これは多分適切なこと。流石、やり手の人は違うというか、この業界の知人たちから聞く「旧世代の遺物が年功序列で成り上がったタイプの大企業の部長」とは大違い。

新しい技術に見境無く飛びつくことなく、かといって逃げ腰でもなく、センサーを張って機会を見計らう体質も期待できる。 Mozilla開発者ザヴィンスキーの言うところ の「会社を成功させたいために働きたい人」による「小集団」である。

私たちは幸いにして成功できる可能性がある。だから成功させよう。これはハッカーとしての素直な気持ちである。